インフルエンザ

インフルエンザと風邪

インフルエンザインフルエンザも風邪も、両方とも発症すると咳や発熱、喉の痛みなどが現れます。風邪は様々なウイルスによって発症するものですが、インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することで発症する感染症です。
また、風邪の場合、咳や発熱、鼻水、喉の痛みなどの症状が現れても軽度で済みますし、熱もそこまで高くならないことが多いです。一方、インフルエンザは38℃以上の高熱や頭痛、筋肉痛、関節痛、倦怠感などの激しい全身症状が現れます。その後に、咳や鼻水、喉の痛み、吐き気、腹痛などを起こす傾向があります。
さらに、インフルエンザは重症化すると気管支炎や肺炎、インフルエンザ脳炎などに至るリスクもあります。特に妊娠中の方や基礎疾患を抱えている方、高齢の方、赤ちゃんなどは合併症のリスクが高いので、要注意です。

インフルエンザの流行について

インフルエンザは毎年、12月半ばに流行し始め、1月~2月にピークを迎える傾向があります。しかし近年では、11月中旬から流行り始めるケースも増えています。「早く接種しよう」と検討される方もいらっしゃるかもしれませんが、インフルエンザワクチンの予防持続効果は約5ヶ月間です。早く接種するとピーク時に予防効果が薄れてしまう恐れもあるため、当院では10月中旬~12月の間に接種を済ませることを推奨しています。そうすることで、ピーク時でも予防効果が持続できます。
ただし、予防接種を受けても感染する可能性がゼロと言えませんが、ワクチンを接種することで発症しても重症化を防ぐことは可能です。
予防接種だけでなく「丁寧に手洗い・うがいをする」「栄養バランスの良い食事をする」「十分な睡眠を取る」などの対処法も行いましょう。

インフルエンザの潜伏期間と感染

潜伏期間は個人によって異なりますが、1~4日であることがほとんどです。平均すると2日程度です。「症状が現れる1日前」から感染する力をつけると言われており、感染経路は主に飛沫感染・接触感染とされています。

飛沫感染

飛沫感染感染者の咳やくしゃみなどによって飛び出た、インフルエンザウイルスを含んだ飛沫を吸い込むことで感染します。感染を防ぐには、正しくマスクを装着することが有効とされています。また、人混みや繁華街などの場所は感染リスクが高いので、要注意です。

接触感染

接触感染感染者の唾や鼻水が手から手へ、あるいはドアノブや吊り革など物を介して手に付着し、口や鼻、目などの粘膜を触ることで感染します。
「感染者が咳・くしゃみをする時、手で口を押さえた」「その手でドアノブや手すりなどに触った」などをきっかけに、うつってしまいます。「手洗いはこまめに行う」「外出先では顔に触らない」などを行って予防しましょう。

具体的な予防法

「感染症にかからない」ことも重要ですが「誰かにうつさない」ことも大切です。飛沫感染・接触感染を防ぐために、以下の対策を心がけていきましょう。また、インフルエンザは感染しても、軽度の症状しか起こさないケースもあります。そのため無症状でいる、不顕性感染者もいるのです。自覚症状がみられない状態でも、誰かにうつさないよう気を付けましょう。

手洗い・うがい

外から帰ってきた時、料理を作る前、食事前は必ず、石鹸をよく泡立てて手を洗いましょう。一緒にうがいもしましょう。指先や手のひら、指と指の間、手の甲、手首は念入りに洗い、必ず「流水で」きれいに洗い流しましょう。洗った後は乾いたタオルで水気がなくなるまでふき取ってください。

外出時

手すりや吊り革、ドアノブ、エレベーターのボタンといった、多くの方が触るところは無意識に触ってしまいがちです。外出時はできる限り、顔に触れる場所に無意識で触れている可能性が高いため、外出時はできるだけ顔に触れないようにしましょう。
手洗いができない場所に行く時はアルコール手指消毒剤を持ち歩き、食事前などに消毒するのも有効です。

マスク

マスクは他人にうつさないために装着するものですが、ご自身の感染リスクを下げる上でも有効とされています。また、より感染リスクを軽減させるには、マスクを正しく着けることが重要です。上部にワイヤーが入っているマスクの場合は、鼻の形にフィットさせるようにワイヤーを曲げ、隙間を作らないように口と鼻をしっかり覆いましょう。鼻が隠れていないと、マスクの効果が減ってしまいます。
ただし、マスクに触れることで接触感染を起こしてしまう可能性もあります。マスクを取る時は表面に触れないように耳ひもを持って捨て、着用前・後は必ず手洗い・アルコールによる手指消毒を行ってください。
また空気が乾燥していると、ウイルスが粘膜に侵入しやすくなります。口内を保湿してウイルスの侵入を防ぐ上でも、マスクは重要なアイテムです。ただし「マスクを着けると息苦しくなる」といった方は無理をせず、他の対策が行えないかを医師に相談することをお勧めします。

咳エチケット

咳やくしゃみは、マスクを着けていても人のいる方向へ向かないようにしましょう。マスクを着けていない時は、ハンカチやティッシュ、タオルなどで口や鼻をきちんと覆いましょう。

栄養・睡眠・休息を十分にとる

食事が不規則で偏っていたり、疲れやストレスが溜まっている状態は体調を崩しやすくなります。栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠・休息時間は大切です。

室内の換気・加湿

空気の入れ替えは、室内のウイルス量を下げるのに有効です。また、気温が低くて乾燥している空間ですと、ウイルスが活発に動いてしまいます。また、乾燥すると喉の粘膜の防御機能が弱くなるため、感染リスクが上がりやすくなります。室内の湿度が40%未満になった場合は、加湿器などを活用して湿度を50%~60%に保つようにしましょう。加湿器はカビなどが生えやすいので、こまめに掃除するのが望ましいです。また、室温は20~25度に保っておくと良いでしょう。

外出の際の注意

高齢の方や妊娠中の方、基礎疾患をお持ちの方場合、流行がピークを迎えている時期は人込みはできるだけ避けるようにしましょう。

インフルエンザの予防接種

予防接種予防接種は発症を防ぐ上で極めて有効な方法ですし、重症化のリスクを下げることにも期待できます。インフルエンザは悪化すると、気管支炎や肺炎、脳症などの重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。
CDC(米国疾病管理センター)が行った調査では、インフルエンザワクチンはインフルエンザで医療機関に受診するリスクが、40~60%減らせると報告されています。重症化リスクも26%減少、死亡する確率も31%減らせる可能性があり、重症化予防に有効です。
高齢の方や基礎疾患をお持ちの方、呼吸器疾患や心疾患、糖尿病などの持病を抱えている方は特に、ワクチンを接種することを強く推奨します。
個人差はありますが、ワクチンの効果は接種から約2週間経過した後に現れるとされています。また、効果の持続期間は約5ヶ月です。流行のピークである1~2月になっても予防効果が保てるよう、10月中旬~12月中に接種することをお勧めします。

インフルエンザの治療

インフルエンザを治すには、抗インフルエンザウイルス薬を投与する必要があります。当院では主に、タミフルやリレンザ、ゾフルーザ、イナビルラピアクタなどの抗インフルエンザウイルス薬を処方します。
ウイルスの増殖を抑える効果を持っているため、発症後48時間以内に使わなくてはなりません。抗インフルエンザ薬だけではなく、辛い症状を和らげる解熱剤や咳止め薬、痰切り薬などを処方することもあります。

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